食べある記隊インデックス
 
◎ 番外編 28
「鳥居式らーめん塾」卒業生ニュース
◎ 特別編 27
ニューヨーク食市場研修報告
◎ 特別編 26
第16期(京都校第3期)鳥居式らーめん塾 卒業制作発表会
◎ 特別編 25
「第13回 “麺”夢塾」レポート
◎ 番外編 27
「大成麺市場」だより(^^) 4月は8日と22日に開催!
◎ 番外編 26
第1回大成麺市場 〜工場直売会〜
◎ 番外編 25
年頭所感 2012
◎ 番外編 24
東京ラーメンショー2011
◎ 番外編 23
Noodle WORLD 2011
◎ 特別編 24
「第12回 “麺”夢塾」レポート
◎ 特別編 23
第15期(京都校第2期)鳥居式らーめん塾 卒業制作発表会
◎ 特別編 22
中国湖南省米粉視察レポート(後編)
◎ 特別編 21
中国湖南省米粉視察レポート(前編)
上海麺館 SHANGHAI MENKAN(中野区)
◎ 番外編 22
「鳥居式らーめん塾」ニュース〜スタッフブログと卒業生情報!(^^)〜
◎ 番外編 21
「鳥居式らーめん塾」ニュース〜3.11から70日が過ぎて〜
◎ 特別編 20
第14期鳥居式らーめん塾
卒業制作発表会
◎ 特別編 19
「第11回 “麺”夢塾」レポート
◎ 番外編 20
「鳥居式らーめん塾」
塾生ニュース!(^o^)/
◎ 番外編 19
「鳥居式らーめん塾」
卒業生ニュース(^^)
◎ 番外編 18
年頭所感 2011
◎ 番外編 17
「鳥居式らーめん塾」
卒業生ニュース♪(^^)
◎ 特別編 18
第13期鳥居式らーめん塾
無事終了!
◎ 番外編 16
東京ラーメンショー2010
◎ 番外編 15
Noodle WORLD2010
◎ 特別編 17
「第10回 “麺”夢塾」レポート
◎ 特別編 16
第12期鳥居式らーめん塾
卒業試食会
◎ 特別編 15
中国 雑穀麺食べある記(後編)
◎ 特別編 14
中国 雑穀麺食べある記(前編)
◎ 特別編 13
第十回 大成食品七夕の集いレポート
◎ 番外編 14
「鳥居式らーめん塾」
卒業生情報!
◎ 特別編 12
坂本一敏先生の講演
◎ 番外編 13
年頭所感 2010
◎ 番外編 12
ラーメン産業展2009
◎ 特別編 11
第10期鳥居式らーめん塾
卒業試食会
◎ 特別編 10
長谷川大さんの講演会
◎ 特別編 9
第9回大成食品七夕の集い
◎ 特別編 8
ラーメン Show in Tokyo 2009
◎ 特別編 7
大久保一彦さんの講演会
◎ 特別編 6
中国 米麺食べある記(2)
◎ 特別編 5
中国 米麺食べある記(1)
◎ 番外編 11
年頭所感 2009
中華そば へいぼん
(中野区)
らーめん つけめん 我家(うち)
(豊島区)
◎ 番外編 10
ラーメン産業展2008(後編)
◎ 番外編 9
ラーメン産業展2008(前編)
らーめん ひとふんばり
(横浜市)
◎ 特別編 4
福島鰹(株)工場見学記
さかなやらーめん (愛知県)
らーめん Nageyari (岐阜県)
麺屋 轍(わだち) (愛知県)
拉饂飩麺(らうどん)古市商店
(倉敷市)
らーめん 古丹 (京都府)
中華そば 小淀 (中野区)
◎ 番外編 8
はんつ遠藤さんの講演会
つけめん専門店 一歩
(千代田区)
麺彩房 西日暮里店
(荒川区)
◎ 番外編 7
麺食ギャラリー オープン
夢あかり (文京区)
◎ 番外編 6
ラーメン産業展2007(後編)
◎ 番外編 5
ラーメン産業展2007(前編)
◎ 特別編 3
坂本一敏氏講演
つけそば 麺彩房 五反田店
(品川区)
◎ 特別編 2
中国麺紀行
魁 (横浜市)
麺や勝 (新潟県)
◎ 番外編 4
ラーメン産業展2006
湘丸 (横浜市)
麺家一徹&
麺家一徹旭 (千葉県)
◎ 特別編 1
ニューヨークレポート
麺彩房 (中野区)
ひまわり (新宿区)
杏樹亭 (市川市)
一張羅 (埼玉県)
中村屋 (岐阜県)
つじのや (愛知県)
茶屋亭 (愛知県)
がんちゃ (山梨県)
NARUーTO (山梨県)
太陽飯店 (山梨県)
海皇 (市川市)
多久味 (江戸川区)
古奇園 (新宿区)
はやし (渋谷区)
天神屋 (文京区)
生粋 (豊島区)
夢うさぎ (江戸川区)
上々 (千代田区)
◎ 番外編 3
イベントレポート2
麺好 (中野区)
ジャンボ (新宿区)
満月のラパン (渋谷区)
グラバー亭 (練馬区)
◎ 番外編 2
イベントレポート1
◎ 番外編 1
大成食品(製麺工場)
甚六亭 (豊島区)
 
鳥居式らーめん塾
大成食品のラーメン店開業・運営支援
 

★ 食べある記隊出動記録(42)

中華そば専門店 中村屋
岐阜県大垣市
JR東海道本線 大垣駅

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※この情報は取材当時のものです。メニューや営業時間は変更となっている場合がございますので、あらかじめご了承ください。
☆主なメニュー
中華そば 麺 200g ・・・ 600円
  300g ・・・ 700円
  400g ・・・ 900円
つけめん 麺 200g ・・・ 700円
  400g ・・・ 850円
  600g ・・・ 1050円
   
塩ラーメン(季節限定) 600円
   
◆トッピング  
味玉子 80円
メンマ 100円
チャーシュー 250円
住所:岐阜県大垣市寺内町2-58-1
    JR東海道本線・大垣駅から徒歩約15分。車で5分弱。
    大垣駅前道路を南下し、県道18号大垣一宮線を左折し、
    左側。ローソンの並び。県道を挟んで向かい側には、
    大垣市民病院あり。
駐車場:なし
電話:0584-73-3558
営業時間:11:00-14:00 18:00-25:00
定休日:毎週木曜日
席数:カウンター8席。テーブル4×1席、2×1席

■回 最後の訪問先は「中華そば専門店 中村屋」
■■ 塾生時代の店主の思い出話に沸く一行

 「らーめん専門 つじのや」さんを出た食べある記隊一行。
 高速にのり、目指すは岐阜県大垣市。「中華そば専門店 中村屋」だ。
「鳥居式らーめん塾」1期生の中村賢嗣郎さん(33)が、5月30日に開いたお店である。

 らーめん塾の初日に、
「ラーメンで一発あてたい、というのが開業の動機です」
「体系的に効率よくラーメンについて学べると思って、らーめん塾に入りました」
 と自己紹介していた中村さん。1期生のなかでもっとも大柄。常に落ち着き払った態度で講義にのぞみ、シャープな発言を連発していた。

 お金の話題が出ればすかさず、持参した大判の電卓をたたく。
「……ということは、(ビシ!ビシ!ビシッ!)経費は○○万円差がでますね?」
「1食あたりの原価が(ビシ!ビシビシ!ビシッ!)○○○円。これでは、全然利益がでませんね?」
 なんて調子で講師に迫る姿を、ひそかに「電卓のケン」と呼んでいた山内隊員なのだった。

 特に印象深かったのは、自分が開くお店のコンセプトを作る講義。
 同期の久保さんが「明治の小樽の商家のイメージ」、石川さんが「地元ゆかりの茶屋四郎二郎にちなんだ店づくり」と、ストーリーやロマンを感じさせるコンセプトを発表していた。
 一方、中村さんは、
「なるべく競争相手がいないところに店を出したい」
「なるべくお金をかけたくないから、一人できりもりできる小さい店がいい」

 率直で、超がつくほど、現実的……。
「お金をかけない店作りはいいけど、一人でお店をやりくりするのは、やっぱり大変だよ〜」
「お店が持つストーリーも、集客の武器になるんだよ〜」
 と、鳥居塾長が心底心配して、中村さんを説得しようとしていた姿が、忘れられない。

 そんな中村さんが、開業したのである。どんなお店になっているのか、興味津々だ。
 しかし、なぜに岐阜県大垣市? 

「隊長〜、中村さんって大垣市出身なんですか?」
「いや、出身は岩手かどこかだったはずだけど? 塾のときは、中野に住んでいたし。卒業してからは(千葉県)柏か松戸あたりで物件を探す、って言ってたのに、大垣で開業するって聞いて、びっくりしたよ。縁もゆかりもない土地なのにね。ホント、中村君っておもしろい人だよ」
「おもしろいというより、変わっているって言った方が……(^^;」
「こらこらっ! (~~;)>山内隊員! でも、見知らぬ土地で開業だなんて、わざわざ大変な道を選んでいるみたい」
「うーん……。誤解されやすいところがあるけど、彼はああ見えてすごく素直なんですよ。よく質問の電話がかかってくるしね。もしかしたら、3人の中で一番素直かもしれない(笑)」
 などと、中村さんの噂でもりあがっているうちに、到着してしまった。

■回 シンプルな店作りとメニュー展開、麺の量……etc.
■■ ターゲットを絞り込んだ店作りに注目!

 片側2車線の県道沿い、大垣市民病院の近くに「中華そば専門店 中村屋」があった。
 大型店のカラフルな看板が林立する界隈に、少々レトロでこじんまりした木造二階建てと赤いのぼり旗。屋根をおおいかくすような巨大な黄色い看板が、目をひいた。
 外装はいたってシンプル。焦げ茶色の板を使っているせいか、開店4ヶ月目の初々しさは、あまり感じられない。
「お向かいは、大きなドラッグストアだし、隣はコンビニ。車で来るときにわかりやすくていい場所ですね」

 立地や外装をチェックして、いよいよ入店!

「うわー……。男の店、って感じ〜っ!」
 鈴木&山内両隊員、思わず唱和してしまう。


 ベージュ、茶で統一された店内は、広々としていた。券売機、テーブルがふたつ、カウンター……。
壁にかかった3つの額縁には、それぞれ違う銘柄の小麦粉の袋。棚に並んでいるのは、漫画週刊誌。
「飾りっけはないけど、圧倒的な個性というか、特徴を感じるつくりね」
「このお店のターゲットが、少年ジャンプの読者層とかぶってるのは間違いないみたい……(^^;」

 券売機を見ると、メニューは、中華そばとつけめんの並、大盛、特盛と、夏季限定の塩ラーメン、トッピング程度。
「麺の量が並で200グラムって、すごいボリュームじゃない? 都内なら大盛でしょ?」
「ターゲットは、男子運動部員&OB、って言いかえてもよさそう(^^; 見て〜、あの洗面器みたいな丼。特盛用よ、きっと!」

 券売機まわりには、メニューの丁寧な解説が掲示されていた。カウンター席正面には、つけめんの由来や食べ方の解説文などもびっしりはってある。中華そばや塩ラーメンの絵は、中村さんの手描きだろう。具やスープ、麺についての説明が細々と記されていた。

「文字や絵はあるけど……写真ってものが一切ないわね?」
「徹底してるところが、中村さんらしいかも(^^;?」
 などと話し合っている間に、男性陣はカウンターに陣取っていた。セルフサービスのお冷やを手に、早くもくつろいでいる様子。「男性好みの店づくり」が成功しているのは確かなようだ。

■回 店主は旅好きの個性派。
■■ 縁もゆかりもない大垣市で開業した理由とは?

 奥の厨房から、店主の中村さんが登場! 9ヶ月ぶりに再会した中村さんは、めっきりやせていた。
「ずっと仕込みしてて、連日4時間睡眠なんです」

 お店の2階が自宅ということもあって、とことんスープ作りに打ち込んでしまうそうだ。
「やっぱり、ひとりじゃ大変でしょう?」
 隊長が、しみじみといたわるように声をかける。

「いや、夜はひとりですけど、昼間はパートさんがひとりいるし……」
「お金も大事だけど、体力が続くか心配だよ」
 父親のような口調の隊長に、小さく会釈する中村さんなのだった。

 らーめん塾に入る前は、回転寿しチェーンに勤務していたとか。大の麺好きで、ラーメン店でのアルバイト歴も長いことは、塾のときに話していた。だが、あらためて経歴を伺うと、さらに意外な事実が続々発覚!

「大学を出て就職して、営業マンやってました。そのあと、中国に1年留学。それから回転寿しのチェーンに入ったんです。店長を1年やって、エリアマネージャー、バイヤー、商品開発……。4年くらい、勤めたのかな。店長時代と同じ給料なのに、どんどん仕事がハードになってましたよ(笑)。
 そのあと世界を放浪する旅に出て、カジノで食ってたころもありました。1度に100万円くらい勝つこともあったので……。旅行中にネパールやインドの宗教道具を仕入れたので、お遍路もやっていたことだし、行商しようかな、なんて考えたこともありました」

 長い放浪の果てにたどりついたラーメン店開業という目標。「鳥居式らーめん塾」との出会いは、中村さんにとって、新たな旅の始まりだった。

 最初の大きな課題は、物件選び。

 物件選びには、マーケティングが欠かせない。回転寿しチェーン勤務時代の経験から、中村さんは、マーケティングの重要性やその手法をよく理解していた。
「下調べにはインターネットを駆使しました。地図で検索したり、電話帳で立地を調べたり、仕入れ業者を探したり……。こうした調査は商品開発時代にさんざんやっていたので、苦になりません」

 塾を卒業して、まずは首都圏で競合店の少ない地域を探したが、断念。
「塾の講義で、三重県にはご当地ラーメンがない、という話が出たことを思い出して、今度は三重県の動向を調べました。津市内でいい物件があったんですが、よそにとられちゃって……。ただ、この調査で、地元で繁盛しているラーメン店の存在を知ったんです」

 それらのお店のことを調べているうちに、ある結論の達した。
 いくつかの候補地から絞り込んで、最終的に岐阜県大垣市に決定。もちろん、中村さんにとって、縁もゆかりもない土地だ。

 契約したのは、市民病院や西濃庁舎、コンビニやドラッグストアなどの大型店舗が立ち並ぶ大通りぞいにある物件。
 駐車場はないが、買い物や通院のついでや、近隣に勤める人々が昼食を、ということなら、なんら問題ない。
 家賃、駐車場代は、繁盛しようがしまいが、毎月必ずかかる。ここを2階の住居も込みで低額におさえたことで、首都圏での開業に比べ、かなりの余裕が生じたわけだ。 
 さすが、「電卓のケンシロウ」だ。

 マーケティングは万全だとしても、未知の土地での開業には、やはり苦労がともなう。
「県内に親が住んでいない、という理由で、国民生活公庫の融資を断られたときは大変でしたね。融資を受けることを前提に、内装や厨房工事を始めちゃってましたから。しょうがないから、半分は親に借り、厨房機器はリースに変更しました」
「やっぱり、地元で開業すればよかった、なんて泣いちゃったりして? フツー、泣きますよっ!(^^;」
 と突っ込む山内隊員。
「ははっ、泣いてるヒマなんか、なかったですよ(笑)」

 開業前の店主は、猛烈に忙しい。へこんでるヒマもないほど、準備に追われるという話は、過去の取材でもしばしば耳にしていた。
 そもそも中村さんは、世界ぶらり一人旅ができてしまうツワモノ。この程度のアクシデントでは動じないのかもしれない。

 ……と、豪放磊落な個性派店主の作る中華そばとは、いったいどんなお味?

■回 睡眠時間は平均4時間!
■■ 店主入魂のスープの特徴は?

「中村さん、このお店のこだわりを教えてください」
「こだわり? ……別にないなぁ。ごくごく普通に手間をかけて作ってます」
 睡眠時間4時間で仕込みに打ち込んでいながら、「ごくごく普通に」と言えてしまうあたり、相当な大物!

 中村屋の中華そばは肉系スープと和風だしを別々にとり、提供する直前に小鍋であわせ、あたためるというダブルスープ方式を採用している。
 和風だしは、昆布、椎茸、宗田鰹、鯖節、ウルメ等を使用。
 動物系スープは、豚骨、背骨、豚足、地元産の鶏などを使用。初日6時間、2日目5時間かけてBrix10の濃さを目標に仕上げている。

 これほど濃厚だと、仕込みの最中に鍋の底にずっしりとガラ類がたまっていき、焦げやすくなる。
「中村君、スープ焦がしたことある? 石川君も久保君は焦がしたことあるよ」
 福井講師の問いかけに、
「えっ? 俺、一度もないですよ。そっか、みんな焦がしてるんだ♪」
 かけっこで一番になった小学生男子みたいな顔で答えていた。

 2種類のスープは、メニューごとに配合比率をかえている。塩ラーメンは和風だしが多め、逆につけめんは肉系スープの比率をぐっと高めているそうだ。
 自家製のタレで味を整え、背脂とラードをブレンドした脂で肉の風味を際立たせている。

■回 味づくりに対する柔軟な姿勢と
■■ 研究熱心さで、地元に素早く適応!

 麺は、大成食品の特製麺。伸びにくいタイプの太い麺を、十分熟成させてから使っている。
「並200グラムって、東京の感覚からすると多いでしょう? でも、岐阜は200グラムが一般的みたいなので、あわせました。特盛も、常連さんがよく注文されますね」
 「中村屋」の客層は、20代、30代の男性がメインだ。この層を満足させる味づくりとボリュームを心がけているという。

 トッピングは、すべて自家製。
 チャーシューはバラとチャーシューメン用の肩ロース、塩ラーメン用の鶏の3種類。
 メンマは普通のと穂先メンマの2種類を、乾燥メンマをもどすところから仕込んでいる。
 仕上げの脂の量や味の濃さなどは、個々のお客様の注文に応じて加減するのは、いわずもがな。無骨な大きな手で、ひとつひとつ丁寧に、きめ細やかな配慮をもって、調理しているのだった。
 
 「こだわりがない」と言ってのけられることも、彼の強みだろう。
 開店早々、つけめんの一味を半分にして欲しいというお客様が3人も続いた。
 唐辛子の辛さが苦手な人が多い地域なのか?
 中村さんとしては、甘、辛、酸味のバランスがとれたベストの味を提供している自負があったが、固執はしなかった。
「お客様からのクレームは、俺に対する挑戦だと思っています(笑)。クレームが入ってから徹底的に研究しました。3日後には唐辛子のレシピを変更して出すことにしました。国産の唐辛子、韓国産の唐辛子、カイエンヌペッパーの3種類をブレンドして、香りと色はそのままに、辛さをおさえています。そうしたら、ぐっとつけめんの売り上げがのびてきたんです」

 お客様の意見に真摯に耳を傾け、スピーディーかつ柔軟に対応する……。この姿勢があるからこそ、縁もゆかりもない土地で順調に売り上げを伸ばしていけるのだろう。

 つけめん文化のなかった大垣市に、「中村屋」のつけめんの味が、着実に根付いている。

 インターネットでの評判も上々、地元情報誌などからの取材依頼もあいついでいるとか。今後一気にブレイクしそうだ。
「2軒目、3軒目と店を増やしていきたい」
 という目標に向けて、中村さんの「旅」は続く。

■回 中華そば、つけめん
■■ 夏季限定メニュー・塩ラーメンを、いざ試食!

 さて、いよいよお待ちかねの試食タイム!
 中村さんには中華そば、つけめん、そして夏季限定メニューである塩ラーメンを作っていただいた。

★中華そば (600円)

:大成食品の「中村屋」特製麺。16番の切刃使用の太麺(並 200グラム)
:豚バラをスープで2時間煮込んで特製醤油ダレに漬け込んで作ったチャーシュー。
  中国産の乾燥メンマをじっくり戻し、醤油等で味付けした自家製メンマ、もやし、地元産の刻みネギ、海苔
スープ:動物系スープと、和風だしを1食分ずつ小鍋であわせるダブルスープ方式。
  動物系は、豚骨、背骨、豚足、地元産の鶏などを二日炊きしたもの。Brix10の濃さを目標に仕上げている。
  和風だしは、昆布、椎茸、宗田鰹、鯖節、ウルメ等を使用。
タレ:複数の醤油をブレンドして作った特製醤油ダレ。
オイル:ラードと背脂のブレンド

<隊長感想>
 濃度の濃いスープを、きちんと仕上げていますね。4時間睡眠で頑張った成果かな。頑張っている姿勢が、ちゃんと伺えるスープです。
特盛が、常連さんに受けていて、そこそこ出ているというのも、スープとのバランス、味の良さがあるからでしょう。この調子で、精進していってほしいですね。

<福井講師コメント>
 二ヶ月ぶりに訪ねましたが、よくがんばっていますね。スープの濃度の目標はBrix10。「麺彩房」に近い作り方にしていますから、ラーメンもインパクトが出ていて、完成度が高いです。
 ただ、タレはちょっとまだ塩角があったかな。チャーシューを漬け込む量が少ないから、仕方がないのですが……。そこがちょっと惜しかったですね。

鈴 木
 あんまりゴテゴテしてなくて、直球勝負というか、すっきりした味わいでおいしかったです。「麺彩房」系で相当濃厚なスープなんですが、キレがいいのでしょうね。肉系の濃厚な香りが、食欲を刺激する作りになっていたのは、「茶屋亭」さんと対照的で、興味深かったです。
  チャーシューやメンマなどのトッピングは、一つ一つ丁寧にしあげてありましたね。バラチャーシューは、肉の食感をきちんと残して、味付けも醤油味ですっきり。スープを邪魔せず、お互いの味わいを引き立て合うよいバランスだったと思います。
  チャーシュー麺用の肩ロースチャーシューは、ふわっふわのほろほろ。塩ラーメンの鶏チャーシューはほんのり甘くて、しこっとした歯ごたえがある……。中村さんが特別に出してくださったチャーシュー3種類食べ比べセットは、感激ものでした。ありがとうございました!

庄 崎
 「麺彩房」、何度か行きましたけど、よく似てますね。濃いスープで、おいしかったです。
  おひとりで頑張ってらっしゃるお店なので、ついついみんなに紹介したくなります。
  あえて言わせてもらえるなら、冷房が厨房の熱気に負けていたのか、とにかく店内が暑かった〜。サハラ砂漠みたいでした。夏場はちょっと辛いです(^^; 

山 内
 濃厚で強い勢いのある、まっすぐなスープです。最初は、魚介と豚のかぐわしさで食欲をガツンと刺激。口に含めば、さまざまな食材から抽出した豊かな風味、コクが迫ってきて、飲み干したあともイノシン酸系のうま味がのこって……。猛暑の愛知県から岐阜県へのドライブで、たっぷり汗をかいて消耗した体に、一気にエネルギーチャージ完了!といった趣きです。
  塩気もオイルもきいているせいか、もやし、ねぎがすごくおいしく感じます。チャーシュー、メンマは、手間ひまをおしまずに作られたことがよくわかります。完成度が高いです!
  きけば、仕込みに追われて4時間睡眠が常だとか。中村さんの情熱がこもった一杯というわけですね。心からおいしくいただきました。ごちそうさまです!

★塩ラーメン(600円)

:大成食品の「中村屋」特製麺。多加水、中細縮れ麺
:コーラに漬けこんだ鶏胸肉を、スープで煮、醤油ダレに漬けこんで作った鶏チャーシュー。自家製穂先メンマ、白髪ネギ、ごま
スープ:中華そばと同じ2種類のスープを使用。和風だしの比率を高めている。
タレ:特製塩ダレ
オイル:ラードと背脂のブレンド

<隊長感想>
 季節限定メニューとしては、よくできています。和風だしが強い、さっぱりした味わい。トッピングも工夫している……。ただ、味のインパクトは、つけめん、中華そばに比べるとやはり差がついてしまいますね。

鈴 木
 カウンター正面に貼ってある絵を見て、想像していた塩ラーメンと、ちょっと違っていたかも。もっと大胆というか、豪快な姿と味かなと思ってました。
  現物は、全体にきちんとまとまっていました。スープにあうトッピングを緻密に考えているな、という印象。あっさりめのスープに、あの味付け、食感の穂先メンマは絶妙だと思いました。量もたっぷりあって、嬉しかったです。
  ただ、もうちょっと香りが欲しかったかも。ごまはもっと多いほうが好みです。

庄 崎
 塩ラーメンは、穂先メンマがインパクトありましたね。ただ、中華そば、つけめんに比べると、どうしても、ちょっと影が薄く感じます。

山 内
 和だしの比率を高め、豊かな魚介の風味が魅力的です。ぐっと軽やかな味わいになっていて、男性よりも女性にうけそうなラーメンです。あっさり鶏チャーシュー、穂先メンマは、歯ごたえと味付けが全体とよく調和していると思いました。
  欲を言えば、もう少し彩りがあったほうが、食欲を誘いそう。青じそとか、貝割れ大根などの青みがあったら、また、糸唐辛子などの赤いものがのっていたら、ずいぶん違って見えたのでは? 全体に似たような色あいで、地味なのが惜しいです。

★つけめん(700円)

:大成食品の「中村屋」特製麺。低かんすい、15番の切刃を使用した極太ストレート麺に刻みのり。(並 200グラム)
:つけダレに刻んだチャーシュー、メンマ、ねぎ入り。
スープ:中華そばと同じ2種類のスープを使用。ただし配合比率は肉系スープを高めている。
タレ:複数の醤油をブレンドして作った特製醤油だれ+特製甘酢+唐辛子は国産、韓国産、カイエンヌペッパーのブレンド。
オイル:ラードと背脂のブレンド

<隊長感想>
 3種類食べたなかでは、つけめんが一番気に入ったかな。タレの甘さ、しょっぱさのバランスがよくとれていたように思います。スープの濃度が一番濃かったから、とてもおいしくいただきました。
 素直に、丁寧に手間をかけて作っていると思います。

 中村君は、私や福井君からのアドバイス、お客様からの意見を素直に聞いて、どんどん取り入れていく姿勢がいいですね。低コストで、ひとりできりもりできる店というコンセプトを実現している点も、立派だと思います。
 過労で倒れたりしないように気をつけて、今後とも頑張って欲しいですね。

鈴 木
 つけめんは、タレにたくさん唐辛子が入っていて驚きました。でも、その割に、辛さはさほど感じませんでしたね。このあたりは、あまり辛いのは好まれないのかも。東京ならもっと辛くてもいいなと思うけど……。
  この唐辛子、独特の風味があって、これは新しい!って思いました。カイエンヌペッパーなど3種のブレンドのせいでしょうか。複雑な香りがして、おもしろいと思いました。
  タレは、私にはちょっと甘すぎるかな。でも嫌みのない甘さです。地元の嗜好にあわせて調整しているのでしょうね。とても研究熱心だと思いました。

庄 崎
 3種類食べた中で、一番おいしくて印象に残ったのは、つけめんです。 「中村屋」さんのつけめんの味は、今日まわった3軒のなかで、一番好きですね。一番コクがあったと思います。
  ただ、つけめんマニアとしては、ここのスープだったら、甘くないほうがむしろ、おいしんじゃないかなと思います。

山 内
 甘酢がバランスよくきいていて、もちもちっとした太い麺……「麺彩房」系のつけめんとして、とてもよくまとまっていると思います。
 つけダレの丼が大きいのは、ターゲットの食欲&心理にぴたっとはまっていそう。チャーシューがごろんごろんとたっぷり入っていて、豪快なルックスが魅力的です。
 唐辛子の色合いもきれいです。国産、韓国産、カイエンヌペッパーをブレンドしてあるせいか、えっ、こんなに?と驚くほど入っている割には、辛くないのもいいですね。激辛好きだと、拍子抜けしちゃうかもしれませんが、私にはほどよく感じます。
 お客様からの要望を「挑戦」と受け止め、素早く対応していく姿勢は、中村さんらしいな、と思いました(^^)。 今後のご活躍をお祈りしています!

■回 中京地区らーめん行脚、終了!
■■ 塾出身者たちの活躍を祈りつつ、家路へ……

 店を出ると、すっかり陽が傾いていた。
「0期生の辻さんも含めて、塾生さんたちはそれぞれがんばってましたね! みんな、いい顔していて、ほっとしたよ」
 感慨深げにつぶやく隊長に、福井講師も笑顔でうなずく。
「3人ともそれぞれ自分なりの工夫をしていて、個性が出てましたね」
「同じ釜のスープを炊いていた1期生のふたりが、匂いに関して全く逆のアプローチをしているのがおもしろかったわ〜。ターゲットが違えば、店づくりも変わることもよくわかったし、有意義でした!」
「3軒とも、今後ますますのびていきそうで楽しみ。はー、あとは新幹線に乗って帰るだけかぁ〜。次にこちらに来るときは、庄崎さんのお店の取材ねっ(^^)!」
「はいっ、『麺屋 轍(わだち)』がオープンしたら、絶対きてくださいよっ、約束ですからねっ!  
 そうだっ、塾長! さっそく特製麺の試作品、送ってくださいねっ!」 

 にぎやかな5名をのせて、パジェロは夕暮れの大垣市街をあとにした。

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